第1章

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「いやいや、大丈夫だよ。じゃあ次僕いいかな? 是枝裕真、18歳です。斗真とは双子です。能力は “幻覚”。相手の認識をずらしたり、幻聴を聴かせたりできます。基本サポートですが、一応戦えます」 と言ってにっこり笑う。 裕真はああ言っているが、実際かなり強い。戦闘特化の斗真と互角なくらいに。 そうとも知らない他のメンバーが、裕真のほんわかスマイルにほっこりしている。 「あ、じゃあ次私いきますね」 そう言って手を挙げたのは先ほど斗真に質問した女の子だ。 「えっと、早乙女ゆかり、17歳です。“獣人化”という能力で、様々な動物の力を得る事が出来ます。ただ、一つの動物につき、一つしか力を貰えないのと、その動物と似た姿になってしまうのが難点です」 頬を染めながらいうゆかりを見る。 長い黒髪、大きい瞳。獣人化したらさぞかし可愛いのだろう。 「獣人化かぁ。見てみてーな。絶対似合うだろ、今できねえ?」 「い、今、ですか? いや、今は、ちょっと……あまり似合わないですし…」 「そうか? 絶対可愛いだろ。なあ、みんな」 「か、かわ……」 斗真にそう言われると、真っ赤になった顔を隠して、斗真をちらちら見ている。 斗真と裕真は顔はかなりいい方なので、他のSET隊員の中にも彼らのことが好きな女性は多いだろう。しかし、本人たちはそういう気は無いので誰かと付き合ったなどという話は聞いた事がない。 「ほらほら、ゆかりちゃんが困ってるでしょ。そこらへんにしといてあげて。後つっかえてるんだから」 「あ、そうか」 私がそう言うと、あっさり引き下がった。 「あー、そろそろ俺いい? 俺は古賀寛人、21歳。能力は “炎撃” 。簡単に言うと、火を操れる能力な。よろしく」 私たちのやりとりに苦笑しながら自己紹介をした古賀さんは、面倒見の良いお兄さんという感じだった。 「俺は榊拓斗、20歳。能力は “障壁” 。見えない壁を五枚まで出せる」 最後のメンバーの榊さんはクールな人だった。 全員の自己紹介が終わり、戦闘になった場合の立ち位置などを話してから今日は解散した。 桐崎要、是枝裕真、是枝斗真、早乙女ゆかり、古賀寛人、榊拓斗。 この五人で、明日から任務をすることになった。
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