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「兜、どうだった」
克己が服を脱ぎながらきいた。
数日前、大学の友人の兜勇治を穂寿美に紹介したのだ。
その日、穂寿美とデートできたのは、兜を紹介した礼だった。
「やっぱり童貞君はいいわ。純朴で」
穂寿美はフフフと笑いながら自分も裸になった。
「あいつ、帰りに事故にあったらしいよ」
「えっ?」
穂寿美は、妹の千穂理が轢逃げを目撃した話を思い出した。
その妹が、昨晩、轢逃げ犯らしい女に尾行されたといって、
穂寿美のマンションに逃げ込んできた。
今朝は何事もなかったような顔をして仕事に行ったけれど、どうしているだろう。
千穂理の童顔を思い出す。
「それって、轢逃げ?」
「ああ、そのようだね。新聞にも出ていたよ」
「その事故、千穂理が目撃したものだわ」
全裸になってベッドに横になると、若い克己はむしゃぶりついてくる。
「もう。せっかちね。兜君の方が落ち着いていたわよ」
「童貞なのに?」
「そうよ。途中からメガネまで掛けて、熱心だったわ」
「あれは伊達メガネのはずだよ。兜の視力は悪くない」
「そうなの?」
「あいつ、メガネを掛けて、何を見た?」
「私のあそこ」
「へー。確かに興味深いものではあるけれど。変なやつだな」
言いながら、克己は体の向きを変えて穂寿美の股間を覗き込む。
「止めてよ」
穂寿美が笑った。
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