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煩累
連れ込んだ俺の部屋
実家に戻ると聞いてから葉沼を離せない
葉沼を抱えパジャマ越しに背中を撫で続ける
時々擽ったそうに肩を窄め、小さく身じろぐ葉沼を逃がさないように更に引き寄せる。
その度、ふふっと小さな笑い声が頬に…唇に当たるから軽くキスをして親指の腹で頬を目の下を、唇を撫でる。
実家に戻り、部屋を探したら、この部屋に、新しい場所に葉沼が戻って来る事はきっとない。
こうして、ただ抱きしめて寝る事も少なくなる。
俺は葉沼を返せるだろうか…
葉沼の部屋から俺は帰る事ができるだろうか…
正直自信なんかない
傍にいる。
腕を伸ばせば身を委ねてくる。
俺の好きな微笑みは俺に向けられる
柔らかく独特の雰囲気は俺を包み込むように纏ってくる。
──離せる訳がない
動かなくなった葉沼の静かな寝息が鎖骨を掠め続け、頬を撫でていた手を背中に滑らせて頬を葉沼の髪の毛に寄せ瞳を閉じた。
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