煩累

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騒がしかった居酒屋での席に疲れ、着替える事もしないでソファーになだれ込むように座る。 ネクタイのノットに人差し指と中指をかけて引き抜く。 ワイシャツのボタンを2つ3つ外す。 「江藤さん…」 グラスに入れた水を差し出され受け取った。 そのまま少し冷たい葉沼の指がグラスを受け取った反対の指に絡まってくる。 「ん?」 「私が言う事じゃないんですけど…」 申し訳なさそうに口を開いた葉沼 「ん?なに?」 「中尾さん…もう少しだけ気にかけてあげてもらえますか?少し話したけど辛そうでした。江藤さんに迷惑かけてばっかりだって…」 「………。」 「ごめんなさい。余計な事」 答えなかった俺が怒ったのだと思ったのだろう…絡められた指に力が入って苦笑した。 「ん?何で謝る?」 「だって私には関係ない事だから…」 「関係ない事はないよ。同じ会社で働いてるんだから…そうだな…みんな間違えながら覚えていくんだ。ちゃんと見ていくよ」 ありがとうございます。と微笑む葉沼に笑顔を返す ──けど、間違えすぎだろ… 苦笑しか出なかった 二人でいるのに葉沼から中尾さんの話しばかりが続いて、それが葉沼の優しさだとわかっていても何となく面白くない… ──相変わらずガキだな…
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