蜜心

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「へぇーイイ店じゃん。」 個室の様に目隠しがされていて、間接照明の雰囲気のある店だった。 席に座り 「俺、とりあえず生中な。お前は?」 「あっ、じゃあ私も」 「ん、後はテキトーにおすすめ頼むか。嫌いなもんある?」 「大丈夫です。何でも好きです」 他愛ない会話を楽しむ。 俺が好きだという気持ちを出さなければ葉沼は笑顔で俺を見る女の子でいてくれる。 その笑顔に穏やかで少しだけ切ない気持ちにさせられる。 お腹いっばいと笑う葉沼。 「んじゃあ出るか」 会計を席で済ますと葉沼も財布を出すから 「アハハっ良いよ」 と制すると 「割り勘って言ったじゃないですか。出します」 断れば次は無い気がして俺は律儀だな。と笑って受け取った。 店を出ると、冷たい空気が2人を包み同時に 「寒いっ」 と顔を見合わせる。そんな些細な事が嬉しいなんて、俺も相当だ。 そのまま駅の方に歩きだす彼女の隣に並び 「俺飲み足りないんだけと。まだ早いしもお少し付き合わない?」 と前を向いたまま聞いてみる。 葉沼も前を向いたまま考える。 「…でも遅くなりません?」 「遅くなる前に帰すよ」 すると 俺を見上げて 「そうじゃなくて。江藤さんが」 あぁ、やっぱり好きだな。 「俺は平気だよ。葉沼が良ければ付き合ってよ」
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