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「ところでさ。この部屋、すごいな」
兄は私の部屋を見回してこう言った。
そうなの。もう私、現実逃避をしちゃって、ちょっと乗り遅れた感はあるけれど、韓国のスターにハマっているの。
部屋の壁には大好きな『キム・ヒョンジュン』のポスターが隙間なく貼られている。
「いいでしょ。キム・ヒョンジュンっていう韓国の俳優なの」
「ふうん」
「彼みたいな人と結婚できたらいいなあ」
私はうっとりと、彼のポスターに見とれた。
「あのな。玉子。彼はやめとけ」
兄は私の肩に手を置いた。
「えっ、なんで?」
そりゃね。現実にはありえないことだけれど、そんなこと兄さんが言わなくてもいいじゃない。
夢を見るのは自由でしょ。
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