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あたしも慣れるんだろうか。 そう思いながら、門扉を潜った。 タツオはいつも、叶多が中に入って門扉が閉まるのを見届けてから帰っていく。 閉まってしまう直前にタツオに手を振ると、タツオは頭を掻きながら小さくうなずいた。 守られるとは単純に安心できることだと捉えていたけれど、そのぶん窮屈もついてまわる。 ずっとだれかの目があって、守られているというのにかえって気が抜けない。 皇室だったらもっとたいへんだろうな、と他人事みたいに思ったところでそう他人事でもないと戒斗に聞かされたのを思いだす。 戒斗がいるときはなんでもなかったことなのに。 それだけ、戒斗がいれば、という気持ちが大きくて、きっと戒斗といることでいっぱいになっているのに違いない。 あらためて自覚すると、叶多は一つため息をついた。
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