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1.
タツオの車に送られ、大学からたか工房に行って、それから有吏の家へと帰途についた。
もうまもなくというところでタツオはスピードを緩め、門扉前のスペースに横付けにして車を止めた。
家に着いて緊張するのもどうかと思うけれど、車を降りた瞬間から叶多は妙に自意識過剰になる。
カメラで監視されていることを意識してしまい、自分でも動作がぎこちないと感じる。
いまの時期、例えば蚊が飛んできて鼻の上に止まったとする。
そこで自分の鼻の頭叩いたら、蚊なんて見えるわけないだろうし、カメラの向こうでだれか笑うんじゃないだろうか、というのは考えすぎだろうか。
いまでこそ戒斗は自活して解放されているけれど、よく、それまで我慢できたなと感心する。
もっとも、物心ついたときにはそれも日常のなかの当然だったのかもしれない。
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