Boy's scene 1

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「千代さんが……留学?」 三月二十一日、午後八時に突然掛かってきた電話。 その相手は、中学校を卒業してから、全く会っていない女の子だった。 そのこと自体にも驚いたけど、彼女から伝えられた事実は、僕を更に驚かせた。 「それって、本当なの?」 『はぁ、やっぱり知らなかったんだ。 中学卒業してから連絡も取ってない、って本当だったんだね』 「う、うん」 僕と千代さんとは、全く接点がなかった。 その理由は良く解っている。 痛いほど理解している。 全部僕が悪いんだ。 僕が意気地なしだったから。 『とにかく、あの子の携帯の番号とメアド教えてあげる。 メモって』 「えっ、お、教えてもらっても、僕どうすれば……」 『はぁ、健太くん、ホント変わってないね。 取り敢えず連絡してみれば。 多分、連絡しないと後悔するよ』 「うん、解った……」 僕は、教えられた千代さんの携帯電話の番号とメールアドレスをメモして、電話を切った。 切った後、お礼を言い忘れたことに気付き、少し後ろめたい気持ちになる。
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