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「波田さん、これ、よろしくね」
司書の先生の柔らかな笑顔に、本の多さを意識してなかった。
「重っ」
「持つよ」
いつの間にか菅谷くんが隣にいて、私に優しい顔を向けていた。
「大丈夫!」
「そう?」
驚きのあまり大丈夫だと言ってしまったけど、手伝ってもらえばよかったかなと本の陳列をしながら考える。
図書委員は各クラスから二人ずつ。任期は一年間。今は1月。
早くしないと菅谷くんと話す機会もなくなる。わかってはいる。またぐるぐると色々なことが頭を巡った。
今は仕事をしよう。
「えっと…」
目で本棚の本のラベルを追っていく。どんどん上に上がって行って、着いた先は一番上だった。
「届くかな…」
目的の場所まで思いっきり手を伸ばす。つま先立ちも限界なくらいだが、全く届いていなかった。
バランスを崩しそうになった瞬間、身体が支えられて本が本棚にしまわれた。
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