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話していたのは菅谷くんをカラオケに誘っていたクラスの女子だった。 「あの、私ね、菅谷くんが好きなの」 「うん」 「付き合ってくれないかな?」 「ごめん、俺好きな人いる」 そう聞こえて、急に涙が溢れた。そして二人に気づかれないようにドアを離れた。 その後の会話は聞こえなかったけど、振られた子が走り去っていく音だけ聞こえた。 涙が止まらない。奥の本棚に寄りかかって口元を手で覆った。 やっぱり私の思い上がりが過ぎたんだ。勝手に片思いしてただけだ。きっと菅谷くんには大切にしたい人がいる。想いを伝える前に私の恋心は崩れ去った。 「あれ?波田さん?どこいったんだろ」 運悪く菅谷くんが戻ってきたようだった。 「帰ってないはずだけどな」 私のことなんか気にせずに帰ればいいのに。 足音がどんどん近づいてくる。 失恋した相手とはいえこんな腫れた顔を見せたくはない。
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