KETUI イチョウの木の下で

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 私 佐藤 美智代(29)には、三歳の娘と二歳の息子がいる。義母に 小さいうちは 保育園などに 預けるものじゃない。と いわれて 家で子供をみている。  二人でも 大変なんだけどなぁ  一年半前に会社を解雇された夫は、 次の仕事が決まるまでと親の家に転がり込んだ。  私は反対したが、収入がなく、私も二人目の出産の後体調がよくなかったので、「 私も子育て手伝うから体調を整えたらいいわよ。」という 義母の言葉に甘えた。  だが それは 間違いだったと、同居を始めて一ヶ月ほどで気づくことになる。  とにかく色々な面で、細かい姑と大雑把の私とは合わないのだ。掃除の仕方 皿の洗い方 料理の盛り付け方など、わたしはどうでもいいと思うのだが、義母はとにかく細かいのだ。  夫が 定職につくまでの我慢だと思って同居して一年半。私もそろそろ我慢の限界だった。  「みちよさん のりくん泣いているわよ。」  義母の声が聞こえた。  「あ わかりました。お義母さん」  私は 慌ててトイレを出た。  お義母さんのキンキンした声が更に続く。  「子供の声聞こえなかったの。聞こえるようにトイレのドア少し空けとくとか工夫しなくちゃ。母親という自覚がないのかしら。」  「.........」  トイレのドアを開けてするなんて信じられない。それにトイレにいるときくらい子供みてくれたらいいのに。  そう言い返したかったが、そんなこと言い返したら義母の小言は30分は続くだろう。それに未だに義母に言い返すなんてできない。  
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