KETUI イチョウの木の下で

4/10
前へ
/10ページ
次へ
 はぁ......  また ため息をついてしまった。  「あ のりくん」  泣いている息子に駆け寄り抱き寄せた。  娘がおもちゃを持って息子を睨みつけている。  「どうしたの?」  「私のおもちゃ のりくんが口に入れたの。」  「いいじゃない あとで洗えば」  「汚いんだもん。のりくんいつも私のとるの もーう」   娘と息子は年子だがよく喧嘩をする。  弟を可愛がる時もあるが、弟ののりとに愛を奪われた気になるのか、嫉妬も多く誰もみていないときは弟を叩いたりしている。   いや、娘が弟をいじめるには私のイライラが伝わっているのが、原因かもしれない。  毎日子育てに追われ義母の小言。   私がふらふら出歩くのを嫌がる義母のせいで、家にいることが多かった。外出は子供を連れて公園に行くか買い物に行くくらいだ。  いや、義母のせいというより、義母の前でどうどうと意見を述べて話せない私の問題かもしれない。   近所のママ友もいず、おしゃべりでストレス解消というわけにもいかないし......。最近のママたちは共働きが多いのか、私みたいに家にいないのだ。   幼稚園とか送ったら、できるかなぁ。  そんなことを考えながら壁に掛けられている時計を見ると四時だった。  あ。買い物にいかなきゃ。  エコバックを持って夕食の準備のため、近所のスーパーに出かけた。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加