KETUI イチョウの木の下で

6/10
前へ
/10ページ
次へ
 妊娠......    上の子供達が妊娠した時も、夫は喜んではくれなかった。 一番目の娘の時は 夫の会社が不景気でボーナスどころか、給料も八万円しかもらってこなかった。  この時、私は塾で講師をしていて、15万円もらっていたが、つわりがひどくてやめようと思っていた。だが 夫の給料をみるとやめることができず、家庭教師まで増やして生計をたすけた。  二番目の妊娠をつげた時も、夫 給料がちゃんともらえない会社に、辞表を出してきた日だった。  いつも経済状態が不安定な時に、私は妊娠した。  三人目。今回も......  「俺は知らん。お前が 判断しろ。もう寝る。」  そういって、夫は部屋着に着替え、私に背を向けて布団にはいって寝てしまった。   責任感の強い夫は、経済的なことを考えると、素直に喜べないのだろう。   その気持ちはわかる。でも、一人で子供を作ったわけじゃないし、一緒にどうしようか考えてくれないんだろうか。  お金もどうしよう...... 今も余裕もないのに......  三人を育てるのにいくらかかるだろう......   だが妊娠しても、愛する夫が喜んでくれないなんて......  1度でいいから妊娠して喜んで欲しかった......
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加