有名会社 社長殺人事件

3/6
前へ
/14ページ
次へ
 警察は辺りを見回し、社長室机の横の壁を指で差し言った。 「犯人はここの社長をあの壁に追いやり、殺したと思われます。容疑者は今の所、社長室前警 備の今井和木(いまいわき)さん、牧浦秋(まきうらあき)さん。それと社長の秘書、槇田伊 (まきたいほさん)。その3人に絞られます。一人ずつ、事件があったとされる時間 に何をしていたのか聞きましょう。」 「あ、あの。」  秋さんが、(ひか)えめに何かを聞こうとした。 「何か質問でも。」  警察が答えると、秋さんは語りだした。 「私は思うのですが、この遺体の横にボールペンが落ちているのは不自然だと思います。何 かをやろうとしている様に私は思うのですが。」  すると警察も答えた。 「多分この社長は、死ぬ前に机で何かを書いていました。その証拠に机の上にまだ途中しか かけていません。つまり、まだ書けていないところを犯人は襲い、その時にボールペンを落 とした。としか言いようがありません。」  そこにまた秋さんが付け込んできた。 「しかしその場合は、ボールペンは社長の前に落ちているはずです。しかし何故かしら社長 の後ろに落ちています。社長がもし落としたとしても、後ろに落ちるのはまたしても不自然です。」  そこで警察もあっ、と気が付いてきたようだ。 「確かにそうですね。」  その他の人達は警察と秋さんのやり取りを、唖然(あぜん)と見ていた。image=503922388.jpg
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加