僕はいつからか、ピンク色のチューリップがすきだ

2/2
前へ
/4ページ
次へ
ピンク色なんて、独身時代は特に好きな色ではなかった。どうして僕は今好きなのかって。 そう、僕のこども達がピンク色を大好きだから。 僕には3人の娘がいる。 長女は長い髪を結わないで、耳にかけて顔をかしげる。 朝焼けのようなピンク色のピアスが似合っている。 次女は長い髪を2つのパーツに分けて3つ編みにして、互い違いの両サイドで留めて長女の頬にキスをする。 ピンク色のバレッタは櫻貝の色をしている。 三女は長い髪を2つのパーツに分けてテール状にして、1番端からふたりの姉を抱きしめている。 彼女の唇の色とおなじピンク色のリボンを髪のテールに飾っている。 これが今の彼女達のトレンドらしい。長い髪で、お気に入りのポーズ。[写真用] 好きなヘアアレンジはいつも違うのに、好きな色は皆いっしょ、ピンク色。 妻はいう。 昔から僕がよくピンク色のチューリップを買ってくるからだと。 確かに僕が花屋の注文できまっているのはピンク色のチューリップだ。 女性は大概ピンク色が好きだと思って。妻に似合うと思って。 四月。いろいろな花が咲く時季に、1番最初に花屋で偶然僕が選んだ花がピンク色のチューリップだった。 夏秋冬に買う花の種類、花の色はまったく不特定なのに。 大変によろこばれてそれ以降、春になるとひんぱんにピンク色のチューリップを家族に贈る。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加