第1章

3/4
前へ
/4ページ
次へ
「おはよー!」 職場に着くと、仕事仲間が声をかけてきた。 「おはよっす」 「今日のルルちゃんはなんだか機嫌が悪そうで困るわ~」 困る、と言いながらも笑顔だけど。 「ルルちゃんストレスたまってんじゃね?」 「息抜きさせないとねー。そうだ、今度のショー出るんでしょ?」 「…ああ」 ショー。 俺は、イルカの調教師だ。 職場は水族館。 先ほどから名前が出ているルルちゃんはアシカだ。 「ショーの時間、ちょっとだけ見に行くね!頑張って」 「おう」 今日は、俺のイルカショーデビューである。 若干緊張している。 水族館の仕事は大学の時のアルバイトから始めた。 それからそのまま大学を卒業した後は契約社員、社員へとなった。 ただ、イルカの世話は大学生の時は携わっていなかった。 水族館での仕事は数えきれないほどある。 アルバイトのうちは各部署の助っ人とかサポートに回ることが多かった。 ある程度色んなところを周って仕事を覚えたかと思ったら、ある日「イルカのトレーナーになれ」と上からのお達し。 個人的にイルカは一番好きな海な動物だったので諸手を挙げて承諾した。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加