【ディーン・久出】

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と…… 「なあ、アンタ。知っとるか?」 不意に、 隣のベッドのジイサンがテレビを見ている俺に話し掛けてきた。 「最近、ある国じゃあな。何と!『幼い超能力者達を育成して人間兵器にする研究』をしておるそうじゃよ!まさに悪魔の研究じゃないか!」 「へー。そうなんすかぁ」 俺は、ジイサンの言葉に気の無い返事を返す。 また、始まった…。 俺がここに入院して一ヶ月が経つが… この隣のベッドのジイサン、見た目はしっかりしているのだが、どうも時々、言う事が荒唐無稽で支離滅裂だ。 何でも、以前はSF小説の作家先生だったそうだが… そのせいなのだろう。 想像力が豊か…というのは良い事だが、 今じゃ、すっかりボケてしまってる様で、空想話をあたかも現実世界の出来事の様に俺にする。 全く… このジイサン、大変失礼ながら糖尿病棟より先に精神病棟に入院させた方が良いのではないだろうか…。 まあ、精神病の治療より糖尿病の治療の方が先決と病院側が判断して、このジイサンと俺とを相部屋にしているのかもしれないが。 この病院は、市内でも有数の超巨大・国立病院だ。 内科、外科、眼科、歯科、皮膚科、小児科医、精神科などなど…ありとあらゆる治療施設がこの病院内には有る。 あまりにも巨大過ぎて、俺がまだ『探検』に行っていないエリアもたくさん有る…。
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