prologue~夜空の光たち~

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寒さで凍えそうな真っ暗な夜にキラキラと光るあの木々達は夢と希望を与える。 『ゆいーーっ!見てみろってほら!?俺が飾り付けしたんよこれ!すごくね?!』 マフラーを口も隠れるくらいグルグル巻きにしてその熱で頬っぺたが落ちそうなくらい赤くなった君は必死に訴える。 『えーー!うそやぁ。だってこーんな高いのに上まで届くわけないもん!』 ピンクのウサギの帽子とモコモコのピンクのブーツを履き、一生懸命背伸びして両腕を万歳して見上げる。 『今年はどうしてもゆいにこれ見てほしかったけ頑張ったんよ俺。』 さっきまで楽しそうに笑っていたはずの君は少しだけ悲しそうな顔をして呟いた。 『ありがとう!ゆいお父さんからカメラは持っていっちゃダメだって言われたから写真は撮れないけど、絶対絶対忘れないから!だからまた来年はもっともっとキレイなの見たいな!』 あまりの綺麗さと嬉しさで喜びが隠せないくらい満面の笑みで答えた。 『ゆいに見せれてよかった!来年はまた出来るかわかんねーけど、絶対忘れるんじゃねーぞ?』 なんでこんなにもキラキラした風景の中なのに君があまりにも消え入りそうなのかなんてこの時の私には全然わからなかった。 そしてあれから二度とあの綺麗な木々達を見ることはなかった。
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