悲運の目覚め

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「ーーーー!!ーーー。。。」 ん。。 「結菜ーーー!早く起きなさーい!遅刻するよーー?!」 心地いい眠りの中で誰かが呼ぶ声がする。。 それがお母さんだと理解するまでにだいたいいつも10分はかかる。 眠い目を擦りながらうっすら開いた目で携帯を見つめる。 「ーーーー!!うわーーー!!やばいやばい!! もう8時過ぎてるーーーー!! なんでなんで!携帯の目覚まし絶対鳴ってないしーーーっ!」 画面を見て一気に目が覚めたどころか朝から冷や汗。とりあえず携帯片手に部屋のドアを開け放ち、お母さんがいるであろう一階のリビングに駆け下りていく。 リビングのドアを開けるとうっすら甘い匂い。 そこにはいつものように呆れたお母さんの顔とメープルシロップが沢山かかったフレンチトーストがあった。 「お母さんヤバイ遅刻するーー。。」 半泣き状態で訴えるもお母さんは表情を変えることなく淡々と答える。 「結菜、ほんとあんたの寝坊助はいつになったら直るのやら。もう学生じゃないんだからいい加減自分で起きなさいよ。お母さんも来週からパートに出るんだから朝この時間にはもういないわよ?」 「え?お母さんパートするの?私聞いてないよ?」 眠い目を擦りながらあったかいココアを啜る。 「あれ?言ってなかったかしら?結菜にも言ったつもりだったけど。。お父さんと柚輝だけだったかしら?」 呆れた顔が少し困り顔になった。 「えーーー!お父さんとお兄ちゃんだけ知ってたのーー?!ひどいよお母さんーー!っっうぐっ。」 甘い香りのフレンチトーストを必死に頬張りながら訴えるが詰め込みすぎて喉につまらせる。 って、こんな話してる場合じゃない! とりあえず早く用意用意!! 「ごめんごめん結菜!また帰ってからゆっくり話すから!とりあえず今日も仕事頑張っておいで!」 時間がないことでとりあえずこの場をごまかすかのようにお母さんは私を仕事へと促した。 「もーー!!とりあえずバタバタ着替えて行ってくるーーー!」 今はそれどころじゃない。とりあえず急がなきゃ! と思って立ち上がった瞬間、手に持っていた携帯から瞬くような光とともに音が鳴る。 こんな朝から電話?! 誰だろ? 階段を駆け上りながらも着信画面を見た。
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