捨て石

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杏奈は洸一が自分の希望を貫いたのは次期 オリンピックでも優勝する決意の表れで ある事に気づいていた。連覇できなければ 恐らくチームを去る覚悟だろう。洸一と 共にオリンピックという目標に向かって いけることは杏奈にとっては喜びで あったが、同時に彼が希望を貫いて得た マネージャーとしての役割に責任の重さも 感じた。 これからの一年間の戦跡がオリンピック 代表選考の資料となる。八月に中国で 行われる世界陸上で優勝すれば即オリン ピック代表となる。夏に代表に内定すれば、 オリンピックまでほぼ一年。充分に調整 できる。だが、世界陸上の出場者選考会と なる春季の大会で彼がエントリーしたのは 六月の日本選手権だけだ。
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