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簡単に挨拶して、と。
かわいらしい人だな。何言ってもニコニコ受け入れてくれそうな。
買い物の途中か。
邪魔しちゃ悪いな。
そろそろ、先生迎えに行かないと。
お互いの連絡先を交換して、
「またな」
「おう」
駅に向かって歩いてく二人を見送り、回れ右すれば。
「え?先生」
おや、いつからそこにいらっしゃった?
ちょっと意外な雰囲気でビビるじゃないか。
どうした、いつものジトメは。
その罰の悪そうな顔は。
「行きますか」
ああ。
行くけど。なんだか拍子抜けだ。
「今日、ボストン美術館は、定休日なんですよねえ」
残念そうにセンセが空を見上げならつぶやく。まだグレーの分厚い雲が空にある。不思議なのは雪が降った後はスカッと青空が見えるところだ。昔っからスゲー謎。
っていうか先生足元見てください。こけるなよ。両手ふさがってんだから。
「後、どこか行きたいところあります?」
さりげに俺の全身をチェックして、
「栄。誠の服買いたい」
今買ったけどな!それはそれ、っと言われても。先生の荷物を受け取り、地下鉄に向かう。
「その前に観音様にご挨拶」
はいはい。
すっかりさっきの殊勝げな顔は消えた様ですね。ホントにころころ気分の変わるお方だよ。
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