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「私は解らなくはないよ。快楽を知ってからの君は、さらに美しくなったからね」
「どう言う事です? 僕が美しくなるのと、兄さんがそんな事をするのとどんな関係があるんですか?」
「私の口から、そんな下衆な事を聞きたいかね? 少し考えてみろ」
「……まさか、そんな事……」
葵は顔を赤くした。
「喉が乾いただろう? 何か飲むか?」
「あ? え? はい」
「コーラか? 前もって色々用意させておいた」
裸のまま冷蔵庫に向かい、その扉を開けるファントム。
テーブルの上にある水割り用の水の入ったデキャンタをチラリと見て、葵は言う。
「水がいいです」
「どうぞ、ミネラルウォーターだよ」
ペットボトルが渡されると、葵はキャップを開け、それに口を付ける。
私はシャワーを浴びて来るよ、そう言ってファントムがバスルームに向かう。
★★★
ファントムが戻ってくると、葵はベッドで寝息をたてている。
その様子を確認するとファントムはブリーフケースからノートパソコンを出すと、テーブルの上に置き、ウイスキーの水割りを作り、飲みながら、キーを叩いた。
眠気が……
ファントムはしばらくすると強い眠気に襲われ、パソコンをシャットダウンして、ベッドに潜り込み、葵の小さな肩に頭を乗せ、手のひらを彼の胸に置いて眠りについた。
すると、葵が目を開ける。眠ったフリをしていたのだ。
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