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案の定だったと葵は思った。
ファントムは朝まで目を覚ます事はなかった。
「いや、何でもない」
ファントムは葵の頬を指先で撫で、唇にキスをしながら、その指先を肌の上で滑らせるように葵の下半身に手を伸ばしてゆく。
「あ……んっ。ダメ、僕、お腹空いたよ。早くモーニングビュッフェに行きたい」
「いいだろう、少しだけ」
「もぉ、チェックアウト、12時でしょ。まだまだ時間あるじゃない……んうっ」
ファントムの唇が葵の言葉を奪った。
★★★
UA『ウーア』とはスワヒリ語で花と死を意味する。
葵は、午後、ファントムの車で自宅に送られると、早速、自身の部屋にあるパソコンに向かっていた。
血清なんて、UAとは毒蛇の隠語か何かか? 何をしようとしているんだファントムは。
葵は、きのう記憶した送信先アドレスも調べてはみたが、携帯電話のものであるという事と所在地しか解らなかった。
ドメインはtz。タンザニアだ。アフリカのドメインだとは解るのだが、それ以上の手掛かりを見付けられなかった。
ハッキングを試みようかとも考えたが、相手がどうファントムと繋がっているか解らない以上、下手にアクセスして、それがファントムの知る所になってもまずいと考えた。
★★★
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