嵐の前

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「ああっ、そうか。そうだな。ははっ」 「兄さんらしく気が利かないよねー」 「クリスマスは前倒しだけど、10日はどうだ?久々に土日の休みが取れたんだ。」 「僕は何の予定もないよ」 「じゃあ、その日で決まりな」 葵はふと思い出す。 下着が無くなるのは、兄さんが……? いや、そんな訳絶対ないよ! 葵は否定する。しかし、思い当たる所もあった。 近頃頻繁に感じるヒカルからの視線。 それは熱を持ったように感じられた。 ふと気付くとヒカルに身体全体のあらゆる所を見つめられている。 葵は認めたくない気持ちから、それを意識しないようにしていた。 ★★★ 夕食後、葵はパソコンに向かい、こども園の収支報告書などをハッキングした。 寄付金収入は約1200万円。その内、アズマとグループ企業からの寄付金は1000万円。かなりの額だ。 何に使われているのか探ってゆく。 去年の今頃、寄付金を受け取っているが、その時期、職員達に臨時ボーナスが出ている。 特に経理担当者には、100万円のボーナスが与えられている。 調べてみると経理職員だけ給与も高い。 葵は何かあると考えたが、想像がつかなかった。 ファントムは何か気に入らない事があるんだ。絶対! 葵は目を皿のようにしてパソコンの画面を見つめる。 高級外車の購入か……。まぁ、これは贅沢っちゃ、贅沢だよね。でも、給与にせよ、全部違法じゃないだろうしな……。 解らないな。ここは兄さんの仕事みたいに足で見つけるか。 ★★★
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