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生が産まれると同時に死も産まれる。
赤子の産声は喜びと悲しみの声、初めて話す言葉は喜怒哀楽の母、初めて思う感情は喜怒哀楽の父。
自分の中の母と父達。
優しさと愛は同価値で無価値、憎さ悔しさは無価値で同価値。
現れては消えて。
初めの母と父は消えていく。
次の母と父が現れる。
一つ覚えて一つ消える。
親は前世、一人は現世、家族は来世
親はいなくなり、悲しみだけが残り心に自分は沈んでいく。
足掻き、足掻け、足掻き続けた先には一人の世界。
一人で生きてつまらない、たまらなく人が恋しい、優しいだけじゃ無理難題、恨みだけじゃ存在意義がない。
色んな感情、色んな感覚、一つ一つが繋がって自分が出来る
自分の世界に波紋が一つ、一つ一つ増えては一つ一つ無くなって。
増えては減って、減っては増えて。
一つが小でも自分の中で大になり、夢を作り出す。
いつかは決めて決まって進んでいかないと…
諦めて絶望を繰り返して希望だけを見つけて連れて行って……
途中で君と出会って一緒に希望を持って先を歩いて行った。
簡単な事で喧嘩して、難解な事で和解して。
一つ一つ消えないように一緒に覚えて進んでいく。
大きくはない幸せ、そんな幸せが自分の……僕の宝で君の宝。
小さな幸せは形を作った。
二人の宝は親の宝、悲しみは喜びの声に。
幸せ、幸せ、幸せ。みんなの幸せ。
…………でも、そんな幸せも長くない。
希望が絶望に。幸せは不幸に。
僕はもう…………
無音の世界に揺らぐ音
聞こえる小さな話し声、幸せの声。
聞こえない大きな話し声、不幸の声。
『眠いの?』『ゆっくり休んでね』『またくるね』
声は聞こえる、声は出ない。
悲しみの音の中から幸せの声だけ聞こえる。
『パパ』と……
嬉しさの雫は流れる。
ありがとう、ゆっくり休もう、待ってるよ。
言葉が消えて、感情も消えて、恐怖だけ残る。
でも怖くは無い、だってまた会えるから。
さよならなんて言う必要はない、いつの日か会えるのだから……
だから僕は『またね……』と…
君は一人じゃないよ、幸せはいつも側に寄り添っていつも進んでいく。
君は二人の宝と共に歩き進めるのだから……
僕は見守るよ、いつの日かまた君と一緒になれる日を夢見て
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