相対的な世界

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深夜2時12分の天井が悲鳴をあげている。 ドギシギシギギ…。声なき音は日に日に複雑性をます。…ドギシギシンシギギ。ひときわ得体の知れない音がひとつ。ッターンッ。破裂音は空気を切り裂き、無の空間を作り出す。眠るには静かすぎる沈黙の地獄。深い深い闇の中、鼓膜に神経があつめられる。ノッンドノンッドと聞こえてくる?これは何と考えた瞬間、声なき音は増す。ッダーン、ダングィシギシ、タン、シシシギンドンタッ…タッ…ノッンドノンッド、ギシド、ドギシギシギギタ…。里香は今日も眠れない。精神的なストレスに声なき悲鳴を上げ続ける。 靴を脱いで、音のならない電子レンジからピザを取り出す。浩二は人よりも食べる。今朝の朝食も常人より遙かに量が多い。コンビニで買ったジャムパン2つと稲荷ずしに、温めたピザを食べる。食を我慢することはないと親から育てられてきた。教えを順守するかのように続けてカップラーメンにお湯を注ぐ。新聞配達員の朝は早い。40代を超えた今、寝起きの腰は床に屈むだけで悲鳴をあげる。日課の屈伸運動は腰痛の腰をほぐすことを意識する。出来たカップラーメンをすすりはじめる。髭にスープがつかないように、慎重にゆっくりと。出勤までの時間は有意義に使うことにしている。よって食後一息おちついた後は趣味を再開する。ほどけないように靴紐を結ぶ。趣味はタップダンスだ。 深夜2時52分の床が悲鳴をあげている。
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