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「あぁ、そうだよ!!」
叫びながら由里子に詰め寄り、胸ぐらを掴む。
「あんた、私が子供出来ない体って知ってるわよね?!それで旦那にも捨てられたってのも言ったわよね?!」
佐藤は台所に行き、包丁を手に戻り、真正面から由里子に突き付ける。
「あんたの娘はずっとあんたを求めてたのよ。家族はあんたしか居ないから当たり前よね?なのにあんたはずっと、娘の言葉も聞かない。娘に憎まれている、鬱陶しいって言ったのよ」
すると佐藤は怒りの表情から、「ふふっ」と笑い始めた。
「あの子はあんたなんかの娘で居るより、私の子になるべきだったの。だから私の所に来なさいって言ったのに」
なのに・・・と、言葉を詰まらせた後、再び眉間にシワを寄せ大声を張り上げた。
「愛はママの傍に居たいから嫌だって言ったのよ!子供の居ない私が、あんなに自分の娘のように可愛がってきたのに!!!」
佐藤は涙をボロボロと流し始める。
「あんたの娘で居続けるなんて不幸でしか無いのよ。だから殺したの!死んで、生まれ変わったらきっと、恩のある私の娘になってくれるわ。あんたの子供だった事を消し去るためにバラバラにしてやったの!!」
「殺せば良いわ」
それまで黙っていた由里子は静かに、だが先程とは違う強い眼差しで佐藤を睨み付けた。
「私を殺したいならやりなさい。娘へ今までの罰として受け止めてあげる」
佐藤はその言葉に、大声を張り上げながら包丁を振りかざした。
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