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「木下さん、夕飯、此処に置いておくわね。しっかり食べなきゃ駄目よ」
もうあれからどれだけの日が経ったのだろう。
木下由里子は事件があったアパートから引っ越し、少し離れた小さな文化住宅に住んでいた。
そう離れていないこともあって、由里子を心配した近所の人達が、時々こうやって食事を届けてくれるようになった。
毎日毎日、ただ呆然と過ごしている。
涙も枯れ、哀しみを通り越して、ただただ呆然と過ごしていた。
食事も喉を通らず、親切にしてくれる人にも返事すらしない。
どんどん痩せ細って、骨が浮いてくる程になっていた。
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