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「今日はお母さん仕事あるから。夜の仕事は休みだから、夕飯は何か買ってくるよ」
いつもの様に、バタバタと化粧をし、仕事の用意をする朝。
「ママ、お腹すいた」
「今急いでるの!わからない!?冷蔵庫探して無かったら給食まで我慢してなさい!」
「はい」
愛は小学2年生で、由里子の一人娘だ。
冷蔵庫の中を見てみたが、すぐに食べられるようなものは何もなかったのだろう。
だが何も言わず、自分も小学校に行く用意を始めた。
「じゃあお母さん行ってくるからね」
「ねぇ、ママ」
玄関先で母を見送る愛が何か言いかけたが、由里子はそんな娘の言葉は耳に入っていなかった。
「帰ったら宿題して待ってなさいよ。鍵も締め忘れないでね」
そう言って、バタンと勢い良く扉を閉めて仕事に出掛けたのだった。
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