もうひとりの のりたまこ 

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 その日のお昼。  私は会社近くにある公園のベンチに座り、一人寂しく丸美屋で買った弁当を広げた。  因縁はあるけれど、大好きなのりたまこの袋をピリリと破る。  その手を途中で止め、「はあ……」と溜め息を吐いた。 「ダメ……食欲ない」  カポンと再び弁当に蓋をする。  開けてしまったのりたまこをどうしようかと途方に暮れていた、その時。 「あれ、そののりたまこ食べないの? 良かったら貰ってもいい?」  突然の事で少し驚きながら顔を上げると、ラフな格好をした若い男性が目の前に立っていた。 「あ、はい構いませんけど。でもこれ開封済みですよ」 「大丈夫大丈夫! 新しいから虫も湧いてないだろうし。やったね、ラッキー!」  そう言って笑ったその顔があまりにも可愛くて。  私の胸が思わずキュンとときめいた。  これは、新しい恋の予感……?  ☆おしまい☆
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