聖なる獣のお伽噺 ⑦ 【渡辺哉一 Ⅱ】

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眩しさに目がくらむが、じきに目が慣れる。 そこは展望レストランの跡だった。 テーブルは退けられて、周りには照明が。 当然だが、これを用意したのは渡辺だろう。 此処が奴にとっては、ラストステージなのだろう。 もう、闇に隠れて追い回す必要も無い訳だ。 逃亡してから、それほど経ってないだろうに、よく此処まで用意した物だ。 きっとずっとこんなアホな事を計画しながら、医療少年院でも暮らして来たのだろう。 昨日今日、思い付く事ではない。 コイツはずっと、こんな下らない殺人妄想で自分を慰めて来たのだ。 「さあ、フィナーレだ。此処でお前は終わりにしよう。その後で、あのガキだ」 ボクはバックの中から、メスを1本取り出し、渡辺を睨む。 「……ッ!?」 「そんな物で、俺に勝てると思ってるのか? ナース服にメスって、ハロウィンかよ?」 「お前に言われたく無い! レザーフェイスもどきが!!」 「ーーフン!」 渡辺はチェーンソーのエンジンを再び掛ける。 ブイイイイイイイイーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!!!!!!!!!!! 渡辺はチェーンソーを振り上げて襲い掛かる。 ボクは後退りしながら、避けて距離を取る。 なんとか躱せるものの、これでは埒が明かない。 ただ逃げているだけだ。
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