だから、美味しいすき焼きを作らねばならんのです。

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だから、美味しいすき焼きを作らねばならんのです。

今日の夕飯は、この前作り損ねたすき焼きである。 今から、材料を買いに近所のスーパーに向かう。 誰かの為に料理をまた作る日が来ようとは、思いもしなかった。 最近、前向きに生きれるようになってから、不思議と昔を思い出すようになった。 不死の私は死を求めて彷徨っていた。人を喰らうのを止めた。でも、死ぬことは無く今まで得た能力を少しずつ失っただけだった。そして、いつしか不老不死と治癒以外の特別な力は無くなった。 そうなってからも放浪を続けた。 凪さんは私の食事を心配しているけど、実は1年に1人しか喰らわなくても本当は問題無い。人間の時間を生きてい無い私は、人間の食サイクルとはまるで違うのだ。それを凪さんには言ってない。人を喰らうことで凪さんの役に立てるなら、いくらでも喰らう。きっと、凪さんがこの事を知れば、人喰いなど私が必要な時以外やらせなくなるだろう。 だが逆に毎日喰らっても問題無い。昨日に丸々1人人を喰らっても、不思議と次の日にはまた丸々1人人を喰らえる。もしかしたら私のお腹は地獄に通じているのでは無いか? と思う事さえある。その所為で、凪さんに私が生きるのに大量の人肉を必要だと思われている。 人の食べ物はほとんど食べれない。食べても吐いてしまう。飲み物はまあ大体飲むには飲める。実は人間は美味しく無い。もし人の食べ物を食べる事が出来たら、多少は長生きしてても楽しかったかもしれない。私が今口に出来る人の食べ物は、ブラックサンダーというチョコバーだけだ。とは言え日に1本くらいだが。それ以上食べればやはり戻してしまう。
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