103人が本棚に入れています
本棚に追加
「声もおかしいし……あーあー」
やはりおかしい。声変わりしていないみたいに、凄く高い声が出る。
高い所から落ちて、僕の場合は喉がおかしくなってしまったのだろうか。
そんな不安に駆られた僕は、体に何か異常がないかをチェックする事にした。
「……いてっ!」
頭を触ると、早速痛い所が見つかった。頭の丁度てっぺんにコブがあって、触ると痛むのだ。
「他は……」
僕は顔、肩と、上から触って異常が無いかを確かめていく。
「……!?」
胸の辺りを触った時、僕の手は、はっきりと異変を感じ取った。
(なんだ……? でかい……)
「え……!? ちょ、ちょっと……待て待て! これって……!」
痛みは感じない……コブにしては柔らかいし、大き過ぎる。これは……。
「お、おっぱい!?」
揉んでみた。やはり柔らかい。
「……」
なんだか良く分からないが、恥ずかしい。顔が熱い。真っ赤になっているのが分かる。
揉んだのが恥ずかしいのか、揉まれたのが恥ずかしいのか分からないが……とにかく、やってはいけない事をやった気がする。
下半身がスースーするのも、スカートを履いているだけが原因だけじゃない事に気付いた。
僕は、女になってしまったのだろうか。
「……寝よう」
これは悪い夢だ。若しくは死後の世界か……もしかしたら、死ぬ前に見る走馬灯かもしれない。どちらにしても、もう一眠りすれば解決するような気がする。
「エミナさんも安静にしてた方がいいって言ってたし……」
誰かに気付かれたところで特に悪い事はしていないのだが、何故だか罪悪感を抱いて僕はそーっとベッドの中に入り、仰向けになった。
「どうなってるんだ……」
自分の体の事……この場所の事……飛び降りてからの事……走馬灯……エミナさん……死後の世界……男……女……色々な事で、半ばパニックになっている頭が、徐々に落ち着きを取り戻し……僕の意識は再び闇に落ちていった。
最初のコメントを投稿しよう!