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「ポリエステルです。ポリエステル百パーセント」
「ポリエステル……聞いた事無いな……母さん、知ってるかい?」
「うーん……私も聞いた事無いわねぇ……」
「エミナは?」
「知らないわ」
「そうか。もしかしたら、ミズキちゃんは私が想像しているよりも、もっと遠くから来た人なのかもしれないな……ところで、ミズキちゃんはこれからどうするつもりだい?」
「え……そう……ですね……どうしよう……」
「分からないよな、無理も無い。起きてからまだ少ししか時間が経ってないからな。という事は、記憶喪失を起こしてからも、そう時間が経ってないって事で……色々と戸惑っているだろう? よければ、暫くうちに居るといい」
「え……でも……」
早く帰りたい。でも、電話が繋がらないし、ここがどこだかも分からない。この調子だと、電車やバスがあるかも怪しい。とはいえ……そんな状況も、何も分からない。
「すいません……お世話になります」
僕は、ひとまずここに留まる事にした。でも、なるべく早く、電車やバス、場合によっては飛行機を見つけるか、電話かネットの電波が入る所を探して、家に帰るつもりだ。
「遠慮しないでいいよ。同年代の子と話す時間も出来て、エミナも嬉しそうだ」
「うん! よろしくね、ミズキちゃん!」
「うふふ……歓迎するわ」
エミナとその両親に温かく迎えられながら、僕は食事を終えた。
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