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「どの色にも見えるから、みんな正解だよ。ただ、赤紫って言ってる人が多いから、みんなそう言ってるだけ。青紫と赤紫だから言い易いのかもね」
「そっかぁー」
「おお、なるほどー」
子供達が感心の声を上げる。
「でも、いい色じゃないんだろ。魔王のだぜ」
「……そう。あれが魔王の力の色だって言われてるの」
話している少女は顔を曇らせた。
「えー……あんなに綺麗なのに……」
「綺麗ってお前、あれ、魔王の力なんだぞ!? 魔王の手下じゃねーのかよ!」
「違うよぉ! 魔王はずっと昔に勇者に退治されたって、今、エミナお姉ちゃんが言ってたじゃん」
「でもよぉ……」
「ふふふ……レミールちゃんは魔王の手下じゃないと思うわよ。だって、私もレミールちゃんと同じ、綺麗だと思うもの」
エミナは首を少し傾け、男の子に微笑みかけた。
栗色のさらさらした髪が僅かに揺れ、頬を伝って垂れ下がる。
「えー!? お姉ちゃんも!?」
「私とレミールちゃんだけじゃない。他にも沢山居るわ」
「俺んちのママもそうだぜ。夜になると、たまに空を見上げてボーっとしてる」
「本当かよ……」
眉をひそめている男の子を見ながら、エミナは続ける。
男の 子の声を、突然の悲鳴が掻き消した。
「何!?」
外から聞こえてきた悲鳴を聞いて、エミナは急いで立ち上がり、部屋を飛び出た。
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