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「お前は、自分だけが可哀想で自分だけが正しいと思っているんだろ……どうしようもねえ奴だな。仕方ねえ、てめえのその捻れた根性、俺が叩き直してやるぜ」
言いながら、そいつも低い姿勢で構えた。
何だと?
上等じゃねえか!
次の瞬間、俺は飛びかかった。喧嘩の基本、それは先手必勝だ。一気に間合いを詰め、そいつの顔面に強烈なパンチを食らわせる――
強烈な手応えを感じた。普通の奴なら、この一発で倒れているはずだ。
しかし、そいつは平然としている。俺のパンチをまともに食らったはずなのに、怯みもせずに笑っていやがった。
信じられない気分だ。俺は思わず、その場に立ち尽くしていた。
一方、そいつはニヤリと笑った。何のダメージも受けていないのか。
「おいおい……それが、てめえの本気なのかよ? ぜんぜん効かねえぜ。次は、俺の番だ」
言った直後、そいつのパンチが飛んで来た――
あまりにも、強烈な一撃だった。俺は吹っ飛び、道路に倒れる。今まで生きてきて、数えきれないくらい喧嘩をしてきた俺だが……掛け値なしに、最強の一発だ。
しかし、俺は素早く起き上がる。フラフラしながらも、そいつを睨み付けた。誰が相手だろうと、喧嘩で負ける訳にはいかねえ。
「俺は負けねえ……絶対に、負けねえ!」
叫ぶと同時に、俺は猛然と襲いかかって行った。
こんな奴に、負けるわけにはいかねえ。
負けたら、何もかも失ってしまうんだよ!
だが、俺は倒された。
強烈すぎるパンチやキックを何発も食らい、俺は無様な姿で地面に伏していた。
くそが……。
てめえなんかに負けるかよ!
フラフラの状態で、俺はどうにか立ち上がる。
俺は絶対に負けられないのだ。喧嘩で負けたら、俺にはもう何も無い。
弱ければ、生きていけないのだから。
「お前、しつこい奴だな。いい加減、楽になれや」
そいつの声が聞こえた。同時に飛んできた、脳天を抉るようなパンチ――
俺は吹っ飛び、またしても地面に倒される。こいつは本当に強い。俺なんかよりも、ずっと。
どう頑張っても、俺は勝てないのだ。
しかし、もはや勝ち負けなど関係ない。
負けるくらいなら、ここで死んだ方がマシだ。
「おい、いい加減にしろよな。お前、何で突っかかってくるんだ? 俺に恨みでもあるのか?」
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