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「あれっ? おかーさーん!のりたまこもう無いよー??」
「えー? もうー? おばあちゃんなら、のりたまこまだ持ってるかもだから、お隣に行ってみればー?」
せっかく炊きたてご飯にのりたまこをたっぷりかけようとしてたのに。
お母さんたら、どうしてのりたまこを切らすかなぁ。
土曜の朝、私は早くのりたまこを食べたくて、お箸とピンクのお茶碗を持ったままお隣に住むおばあちゃんの元へと行った。
「おばあちゃーん! あっごめんなさい! お客様が居たのねっ」
おばあちゃんのお向かいに座るおじさんは、たまに遊びにくる人。本名は知らないけど、みんなはコパ様って呼んでる。
「おお丸美、大きくなったな。見間違えたよ」
「お久しぶりです! コパ様!」
「丸美や、何か用だったのだろう?」
「あっ、そうだ。おばあちゃん、のりたまこ持ってる?」
おばあちゃんは私の炊きたてご飯をフォッフォッフォッと笑って、「あそこに掛かっている風呂敷を見てごらん」と言った。
「そぉのもぉの……黄色き衣をまといて、銀シャリの上に降り立つべし……」
「あれっおばあちゃんボケちゃった?」
「いやいやいや丸美や。違うぞ。大ババ様は伝説の言い伝えを話しておられるのだ」
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