伝説の のりたまこ

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お店はとっても繁盛してる。 今も私の横を「お腹空いたわ、のりおさん」「早く家で食べようね、たまこさん」とラブラブカップルが歩いて行った。 「ーーお茶碗持って、ここまできたんですか?」 いつの間にか私の横にいた小学生男子に話しかけられ、私は頷いた。 「伝説ののりたまこを探しているの。ねえ君、知ってる?」 「……知ってるよ。僕の家、ここなんだ」 ここの息子、玉夫君はお友達の毛真寿君と一緒に私を店裏の倉庫の前まで案内してくれた。 「ここの倉庫の中に……?」 ビクッと身体を震わす毛真寿君に対し、玉夫君は「ここは見せられない」と首を横に振る。 「もうすぐお姉ちゃんが帰ってくる。そうすれば伝説ののりたまこを出してくれるよ」 空を仰ぐ少年につられて私も上空を見上げると、遥か遠くから黄色と黒の鳥が口を大きく開けながら、こちらに飛んで来ているのが分かった。
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