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距離にしたら五メートルもないはずなのに、いくら走っても玄関が近くにならいない…
それもその筈だった…
私の首を少年の顔をしたそれが、猫でも掴むかのように片手で掴んで体を空中に浮かせていたからだ…
私の足は床を蹴っていなかった…
「逃げちゃだめだよ？僕のこと治してくれるんでしょ？」
そう言った少年の顔には右目があった。
私の右目だったものが今、あそこにある…
少年の顔は生き生きとしている。
しかし、それは私にとって喜ばしいものじゃないのは確かだった…
「助けてくれ！」
言いかけたが言葉にならなかった…
少年が喉へと噛みついてきたため、声が出ない。
ゴボゴボと濁った音がするだけだった。
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