第2章

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でも、それが限界だった。 勢い余って抜け出したけれど、だんだん足取りも重くなる、 仕方ないんだ。 もともと弱っていたボクには、住んでいた村に帰るだけの力は残っていなかったし、あっても、帰り道なんて分からなかった。 死ぬ。 そう、覚悟した。 奴等が村に来なければ。 そうすれば、村で平和に暮らしていたのに。 ここで死ぬこともなかったのに。 これから死ぬボクの心の中を、激しい憎悪が支配する。 でも、それでどうにかなるわけでもない。 やがて、あてもなく、フラフラと歩くボクは、そのうちに倒れて動けなくなった。 ただ、最後に感じたのは、懐かしい、人間が作る料理の匂いだった。
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