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くぅちゃんは不思議な猫だ。
大抵の野良猫は、人の姿を見かけると逃げ出すか、餌をくれるかと期待して、ある程度の距離をとって、こちらの様子を窺う。
けれども、くぅちゃんはそんなことをしない。
ただ、私の事をじっと見つめる。それだけ。
私から近寄っても逃げ出さないけど、くぅちゃんから近寄ってくる事は一切なくて。
それで、撫でてあげると喉をゴロゴロと鳴らしたり。
餌を期待してるわけでもないようで、私の鞄に興味を示すこともない。
人懐っこい猫なのかな?と、思えば、前に小さな子供が近寄っていった時は逃げていたし、女子高生がソーセージをちらつかせながら近寄った時には、必殺猫パンチを繰り出していた。
私に対しては寛容だけど、他の人には容赦ない。
私にだけ心を開いているのか、ただ、なんとなくなのか。
猫を飼ったこともない私には、猫の気持ちなんて分からない。
ただ、もし、私と一緒にいるのが心地いいのなら、ちょっと嬉しい。
忙しない毎日の中。
くぅちゃんと過ごす僅かな一時は、私の数少ない癒しだから。
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