第2章

5/9
前へ
/13ページ
次へ
同じ村からきた猫達も、その弱肉強食の中で、早くも強いものと弱いものに分かれつつある。 ーー少し前までは、あんなに仲良かったのに……。 でも、仕方ないのかもしれない。 生きていくためには、足手まといは切り捨てるしかないのだから。 と、すると、病気にかかっているボクは、真っ先に切り捨てられる。 あの囲いの中に放たれれば、すぐに虐められて、たちまち死んでしまうだろう。 なんとかしなきゃ。 なんとか、ここから逃げないと。 狭い箱の中で必死にもがくも、重みのある蓋はピクリとも動かない。 そのうちに、再び人の声がした。 ボクをここに連れてきた奴等だ。 「さて、あとはこいつだけだが、埋めてしまおう」 「へい、じゃあ、箱ごと……」 「馬鹿者!さっきは急いでいたあまりにやむを得ず使ったが、この箱は漆塗りで高価なのだ。 そんな勿体ない事が出来るか! どうせ中にいるのは弱った猫。 外に出して、切り捨てればそれで終わる」 「へい、ならそのように」
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加