番外編・三年目の朝焼け(前編)

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将来有望かもしれないと、流石俺の息子同然だと…つい親バカみたいな想いが過ってしまう。 実の子で無いのは確かだが、怜の将来の事に関しては何だってしてやると思えるくらいに、自分とって怜の存在は特別なのだ。 自身の両親の件も落ち着いついた。 児童福祉司の資格を取りたいと報告した時は二人共かなり驚いていたが、心から応援してくれた。 特に父に至っては「お前も変わったな」とここ数年で皺の増えた顔で微笑まれた。 合格を知った時は大騒ぎする程喜んでくれた。 あの父がそこまで喜んでくれるとは思いもしなかった。 「お前を局に異動させて本当に良かった!」と――。 異動させられた当初は、何故自分がこんな目にと、父を恨んだ程だったが、そのお陰で俺はここまで来れたのだと父には本当に感謝している。 こんな不甲斐無い息子を見捨てず、人生再起のきっかけを作ってくれたのだから―…。
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