撫でられた髪

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いつものように残業を終え局を出た後、俺は都会の喧騒の中を突き進むように歩いていた。 夜も八時半を過ぎ、煌びやかな街の光を煩わしく感じ眉間に皺を寄せながら――。 居酒屋店やカラオケ店の周辺には、頭の悪さ丸出しの若い学生、底辺の若造、尻軽そうなブス女…そんな奴らで溢れ返っていた。 週末の所為でもあるのだろう。 とにかく人が多い。   それにしても、人の迷惑も考えず騒ぎ立てるバカな奴らばっかで嫌になる。 どうせ悩みなんて無いんだろう。 そいつらを見下すように視線を一瞬送った後、憂う様に溜息をつき夜空を見上げた。そこには星一つ見えない汚い空が広がっていた。
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