8人が本棚に入れています
本棚に追加
Scene6
二十時五十分頃に待ち合わせの新宿の東口にある喫煙スペースについた。ここが毎回待ち合わせ場所だ。
今日は多分一番乗りだと思った。
喫煙所の前に着くと、煙草を一本取り出し、口に加えた。
火をつけようとポケットの中のライターを取り出そうとするが、見つからない。
ズボンのポケットを探したあと、上着のポケットにも手を突っ込もうとした時、
隣から右手でライターの火を付けながら、火が消えないように左手を添えて自分の口元に近づいてきた。
『あ、ありがとうございます。』
世の中捨てたんもんじゃないなと思いながら顔をあげると、
そこには義博が笑いながら立っていた。
その横でケラケラと笑っている潤の姿もあった。
「お疲れ。今日は俺が一番早かったわ」
潤が笑いながらそう言う。
「いつも遅刻する奴が、たまたま時間通りに来れたからって威張るなよ」
笑いながら潤に言う。
「それは言えてる。」
義博も笑いながら言う。久々に家に帰ってきたような、安心感のある雰囲気。この二人と会うといつもそう感じることができる。
最初のコメントを投稿しよう!