Scene6

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「お待たせ致しました。」 先ほどオーダーをとった店員が元気よく片手に三つのジョッキをもってテーブルに置いた。 バイトが終わってからずっと水分をとっていなかったため、目の前のキンキンに冷えているビールがやたら上手そうに見える。 「よっしゃ、お疲れ!」 冷えたジョッキをそれぞれ持ち上げお互い軽くぶつける。 潤は、乾杯の際、必ず一番低い位置にジョッキを持ってくる。それを気遣って無駄に自分と義博も自然とグラスを低めにする。 別に友達同士なのであるため、わざわざ低い位置に持ってくる必要はないのだが、潤の癖らしい。 ジョッキに入ったビールを口に注ぐ。一気に半分ほどなくなる。 「潤ちゃん、ビール!」 自分のグラスを少し高く上げアピールする。 週末は、オーダーしてもなかなか来ないため、半分なくなったら次の飲み物を頼むようにしている。そして、追加の注文は必ず潤である。 別に、潤をパシリにしているわけではないのだが、 いつの間にか自然とそういった流れになってしまっている。 しかも、潤はそういうことを嫌な顔を全くせず、引き受ける。 確かに、昔はいじるつもりでパシリのように扱ってふざけ合っていたが、潤自身も笑いながら毎回引き受けていた。 そうするうちに定着したといった感じだ。 「すいません!ビールとこのサワーをください。」 潤が目の前を通った店員にすかさず言った。義博のグラスには、 まだ4分の3はビールが入っているため、潤は、義博の分を聞かずに二人分を頼んだ。
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