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「お待たせ致しました。」
先ほどオーダーをとった店員が元気よく片手に三つのジョッキをもってテーブルに置いた。
バイトが終わってからずっと水分をとっていなかったため、目の前のキンキンに冷えているビールがやたら上手そうに見える。
「よっしゃ、お疲れ!」
冷えたジョッキをそれぞれ持ち上げお互い軽くぶつける。
潤は、乾杯の際、必ず一番低い位置にジョッキを持ってくる。それを気遣って無駄に自分と義博も自然とグラスを低めにする。
別に友達同士なのであるため、わざわざ低い位置に持ってくる必要はないのだが、潤の癖らしい。
ジョッキに入ったビールを口に注ぐ。一気に半分ほどなくなる。
「潤ちゃん、ビール!」
自分のグラスを少し高く上げアピールする。
週末は、オーダーしてもなかなか来ないため、半分なくなったら次の飲み物を頼むようにしている。そして、追加の注文は必ず潤である。
別に、潤をパシリにしているわけではないのだが、
いつの間にか自然とそういった流れになってしまっている。
しかも、潤はそういうことを嫌な顔を全くせず、引き受ける。
確かに、昔はいじるつもりでパシリのように扱ってふざけ合っていたが、潤自身も笑いながら毎回引き受けていた。
そうするうちに定着したといった感じだ。
「すいません!ビールとこのサワーをください。」
潤が目の前を通った店員にすかさず言った。義博のグラスには、
まだ4分の3はビールが入っているため、潤は、義博の分を聞かずに二人分を頼んだ。
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