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別に、俺は構わないよ。
「別れよう」
そういったのは、お前の方だろ。
なんで泣くの?
確かに愛してたし、今も愛している。
だから、きっと俺から別れようとは言わないと思う。
「そうだね」
俺は、そう吐き捨てると、あっけらかんとした態度で背を向けて歩き出した。
強がっていても、別れが来たことを実感するたび、感情が込み上げてくる。
一言あの言葉を言えたらまた、違う結末にできるのかもしれない。
振り返る勇気もなく、徐々にあいつとの距離が遠ざかっていく。
「じゃあね」
少し遠くから微かに聞こえた。
先に進む足を止めた。
ポケットに入れた手をギュッと握りしめて振り返った。
「あー、またな。」
聞こえたのかどうかわからないけど。
本当に伝えたい言葉は遂に出すことはできなかった。
ださい自分を必死に隠すように真顔のまま、あいつの顔を見る。
どんな顔をしてるかよく見えなかったが、微かに首がこくんと縦に揺れた。
別れようって言ったのは、お前だろ。
なんだよ、それ。
再び、あいつに背を向けて歩き出した。
頬を伝う一雫の水滴が表している感情と、もどかしさが残りながらも
口元が緩み微かな笑みが表す感情。
また、頑張ろう・・。
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