第1章 うつら

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現実の葵君はこんな痴態(ちたい)(さら)して、そんな事を言うはずがない。 すぐにこれは夢なのだと気付く。 しかし、夢でそれに(あらが)う必要もなかった。 私は葵君の既に大きく堅くなっている部分に手を伸ばし、優しく掴んだ。 「あん……、ファントムは僕のココが好きなの……? ねぇ、口でして。僕、我慢出来ないよぉ……」 切ないような甘えた声に堪らず、私は葵君の身体にしゃぶりついた。 「あっ、あ、はぁ、気持ちいいよぉ……」 その夢には、葵君の質量も熱量もあった。匂いや、味覚までもあり、起きている時の感覚全てがあった。 葵君は私の口の中で果てると、四つん這いに体勢を変えて言う。 「ファントムのもしてあげる。出して」 夢と現実の区別が付くのは、現実の彼が言わない事や、しない事をするからだ。 いくら生身の感覚があるリアルな夢でも、そこは間違えようがなかった。 現実の彼は、いつも恥ずかしそうに顔を赤くしながら、私に身体を任せるのだ。何時(いつ)も 何度私に抱かれても、何時までもぎこちなく、その度、私は彼に可愛らしさを感じ、同時にもの足りなさを感じていた。 「うっわぁ、スゴぉい、おっきい。ガッチガチ……」 葵君は小さな口を目一杯開けて頬張るとわざと音を立てて愛撫をした。 欲情を煽られ、私はあっという間に果て、躊躇(ためら)いもなく葵君の中に注ぐ。
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