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あの頃、私はあらゆる学問や美術を学ぶ事、競技をする事、楽器で音楽を奏でる事、それらが好きな中学生だった。
好きな事に没頭すれば、結果は必ず付いてきて、周りの人間の期待に応える事に繋がっていた。
私は神童と呼ばれ、それに満足していた。
しかし、一人の人間が出来る事の限界はあった。
全てを同時には極められない。
いずれ多くをを諦める日が来るだろうと思っていた。
子供ながらに忙しく過ごす毎日に疲れていたのだろうか、夏休みに体調を崩した。
両親は避暑地の貸別荘でひと夏をのんびり過ごす事を私に提案した。
何も持たずに来た避暑地にすぐに飽きてしまい、両親に行く事をとめられていた貸別荘近くの森に好奇心で入った。
地元の人間はその森を、神隠しに遭う鎮守の森と呼んで、近付く事のない場所だったが、私は全く恐れを感じず、むしろその森で人が消える現象を解明する事に興味があった。
森の中を進むと、海のように大きな湖があり、煌めく澄んだ水面に白い睡蓮の花がいくつも咲いていて、私はその場所を一目見ると、自分の死ぬ場所に相応しいと、何故か思った。
その日以降、避暑地を離れるまで、殆どをベッドの上で眠って過ごした。
★★★
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